三方を山に囲まれ、自然豊かな景観が残る福井県鯖江市の河和田地区。古くから漆液を採取する漆かきが多く暮らしていた。
その歴史は古く約1500年前に遡る。後の継体天皇が傷ついた冠の修繕を塗り師に命じたところ、献上された黒塗りの椀が高く評価されたことで漆器づくりが奨励。漆器の一大産地へと成長していった。
江戸末期はロクロ作りによる丸い漆器が主流であったが、蒔絵や沈金、木材を組み合わせる角物技法などの新しい技術を取り入れたことで強さと美しさを兼ね備え、全国に名が知られていった。
分業による量産体制を確立したのも越前と言わており、「木地」「塗り」「加飾」などの各工程で技を磨き続けたことで、食洗機にも耐える漆器を始めとした暮らしに寄り添う器が生まれている。
日本最古の漆器の産地で職人の技に触れながら、生活に寄り添う漆器の奥深さとその歴史を体感し、各工房の職人技を散りばめたフォトフレームを製作しお持ち帰りいただけます。
1500年続く日本最古の漆器産地で、伝統を守りつつ新しい技術導入や分業体制の確立など絶えず挑戦を続けてきた福井県鯖江市の職人たち。高度に専門化された「木地」「塗り」「加飾」と続く一連の工房を見学しながら、各職人の技と自ら沈金体験で装飾を施したフレームを制作していただきます。
井上徳木工2代目木地師。 小箱や盆などの角物(かくもの)と呼ばれる越前漆器の伝統的な形や技術を継承しつつ、曲げわっぱなどの曲げ物技法も取り入れた幅広い木製品を製作。通常は漆塗りで隠れてしまう加工技術、製作過程で見えなくなってしまう木地本来の造形美を活かしたオリジナルブランド " Lr " の製作も行う。
うるし塗り山岸の2代目塗師。 主に木製の角物を中心に手塗りによる上塗りを行う職人であり、同時にお椀などの丸物を含めた幅広い製作を行う。 独特の質感や温かみが伝わるよう、敢えて刷毛の線を残した手触り感の強い塗り技法を生み出すなど、用途を想像しながらひとつひとつを丁寧に塗り上げている。
1983 年の創業以来、木製品を中心とした吹付塗装を行う。新たな塗装の表情を模索し、塗装の可能性を追求している。 2018 年よりデッドストックの漆器や木地に塗装を施して再生させるプロジェクト「MARUHIRO SPRAY」を展開。
輪島の沈金師、三谷吾一氏に師事した後、父である冨田信行氏(初代立山)に師事し二代目を襲名。輪島塗の特徴である「点」を重ねる点彫りの技法と、越前漆器の特徴である「線」を描く線彫りの技法の両方を使いこなす数少ない沈金師。陶器やアクリルなど様々な素材へ沈金を施しながら、沈金の新しい形を探求している。