日本に古くから残る6つの窯元「日本六古窯」の一つである丹波立杭。発祥は平安時代末期に遡り、850年を超える歴史を持っている。赤土が取れる豊かな山々に囲まれ、京都や大阪など都市と隣接していたことで販路も開拓。やきものの技術が集落の中で脈々と受け継がれてきた。
伝統的な丹波焼の特徴は薪窯で焼き上げることで生まれる自然釉。窯の中で燃える薪が灰になると、熱い空気と共に舞いながら器に付着し、混ざり合うことで思いがけない独特の景色を描く。
江戸時代からは登り窯を用いた増産や釉薬の研究で多彩な色と模様を生み出し、今も集落にある60件ほどの窯元で職人たちは新たな技法を探求、日々新たな丹波焼が生まれている。
工房の軒先に並ぶ窯入れ前の器たちは、集落の日常の風景に溶け込んでいる。
暮らしと共に営み、時代に合わせて創意工夫を重ねた丹波焼の職人たち。
約60軒が軒を連ねる窯元の暮らしと美意識に触れ、人生観を揺さぶる体験をお届けします。
里山風景の中で古丹波の銘品から現代陶工の多彩な作品を味わいながら、その背景にある窯元の生業や地域の暮らしを感じる旅。 登り窯見学や工房での作陶デモンストレーション、弟子入りワークショップ、丹波焼の器を使った食事体験を通して職人たちの美意識を体感していただきます。
江戸時代から続く伝統的な窯元の8代目。日本の民藝活動の創始者と言われる柳宗悦や西洋と日本の陶芸を結びつけた英国の陶芸家バーナード・リーチとの交流があった。 丹波焼の系譜を受け継ぎながらも、リーチとの交流の中でとり入れたスリップウェア技法は、櫛目や格子など思い思いの模様を描く様が美しい。工房には登り窯も見られる。
日本を代表する陶芸家、河井寛次郎の弟子であった生田和孝に師事していた父 俊彦氏。そんな父の民藝に連なる素朴な味わいを持つ陶芸を間近に見てきた剛氏は、丹波の土にこだわり、敢えて仕上がりが揺らぐ薪窯を用いる。夫婦で作り上げる作品には人柄が現れ、優美な仕上がりをもつ。 工房近くには囲炉裏の茶室を備え、人との和やかな交流を通して常に新たな創作への美意識を育んでいる。
昇陽窯3代目の若手窯元。立杭という土地に調和した、アーティスティックな工房とギャラリーを夫婦で営む。また2代目大上裕氏夫妻と共に親子で作陶しており、丹波焼を再解釈した独創的な作品は裕樹氏の愉快な性格と対照的な繊細な筆使いが注目されている。 土にふれ、陶芸家と暮らしを共にして伝統を味わう宿泊体験「陶泊」にも取り組んでいる。