尾張地域には日本遺産に認定された有松のように古くからの蔵が残る歴史的な街並みが残り、知多地域では昔から蔵で生産されてきた発酵文化が根付いている。今から約400年前の江戸時代から現代に続く味噌・醤油・酒造などの製造は日本の食文化を支える伝統的な産業である。また、有松鳴海絞と呼ばれる染めものもまた有松の地で栄え、そのルーツは同じく知多・阿久比の特産物である知多木綿が担っていた。阿久比で育った開祖・竹田庄九郎が故郷の知多木綿と農家の手仕事を有松鳴海絞へと発展させた歴史をもつ。
海に近い知多地域では地元で獲れる魚や農産物の恵みを生かす醸造・発酵文化が発展し、米からは酒造り、絞り粕からは味醂や酢が作られた。そして豆からは味噌や溜り醤油が作られており、どれもが尾張地域の食文化を支え続けている。また、有松鳴海絞りのルーツは知多にあり、手拭いの絞り染めから始まった手仕事は世界でも有数の絞り染め生産地に発展していった。
食と手仕事を巡るこの旅では、五感を全て使いながら蔵のある街並みを「歩き」「感じる」体験を共有していただきます。
世界有数の絞り染め文化、「有松鳴海絞り」の原点となった知多から、伝統と革新の街「有松」へ向かう旅。この土地の人々を育んできた食文化をひも解きながら、現在に繋がる伝統の持つ力や技を五感で感じる旅です。
この地域には味噌、醤油、酒、味醂、酢といった発酵文化が根付いており、古くからの蔵が残る地域です。武豊町では南蔵商店をはじめ、一歩足を踏み入れれば味噌の香りが漂う街並みの中、100年以上使われている木桶の中で発酵が繰り返されています。
幕末の1848年(嘉永元年)に創業。「働き手良し、売り手良し、買い手良し、世間良し、自然良し」という「五方良し」を経営理念とし、日常生活に寄り添う酒造り追求し続けてきました。創業の頃より、知多半島の中央丘陵部に湧き出る軟水を私設の水道をひいて使用。米の旨さを引き出し、濃醇でありながら雑味を出さない手間をかけた丁寧な製法を守り継いでいます。
有松鳴海絞の創始者である初代竹田庄九郎は阿久比に生まれ育ちました。かつての手機から、今では自動織機による生産になりましたが、木綿生地の一大生産地であることに変わりはありません。現在、有松鳴海絞に使われる生地はトヨタ創業当時の豊田自動織機時代の機械で織出されています。もはや製造中止となった機械の部品は自社で手作りしながら大切に守り継がれています。
1608年創業の竹田庄九郎の流れをくむ竹田嘉兵衛商店は、名古屋市の文化財に指定されている歴史ある建物の中で往時と変わらぬ佇まいを見せています。細やかな手仕事により意匠・デザインの自由闊達さを表現し、使うほどに風合いが増していく絞り染めの魅力を今も伝え続け、世界に発信し続けています。有松の400年の歴史と技術とともに歩み、絞りの職人文化を未来へ伝えるために現代のライフスタイルに合わせた商品開発も行っています。